そのままの意味にとれば設計を職業とする人のことですが、「建築家」というのは俗称で正式な資格などを意味する言葉ではありません。つまり、名乗りさえすれば、「あなたも私も今から建築家」ということになってしまいます。

ただし、役所に建築確認を申請するにあたっては、「建築士」という国家資格が必要ですので、建築家のほとんどは同時に建築士の資格を持っていると言えますが、一昔前の有名建築家の中には建築士の資格をもたない方も少なくなく、必ずしも建築家に建築士の資格が必要と言うことでもないようです。その場合は他の建築士の名義で建築確認を申請します。

さて、設計に携わる人たちの中でも、私たちが「建築家」という場合には、2つの意味がこめられています。


一つ目は、建物のデザインを重視していると言うことです。

日本には元々日本家屋という強力な「規格住宅」がありますので、伝統的に設計者というのはデザイナーというよりは技術者・職人というニュアンスが強かったのですが、私たちの価値観が多様化し、生活にも余裕が出てきたことによって、やはりデザインも重要だろう、ということで、デザインに重きを置く設計者が脚光を浴びるようになったのです。

ただし、ここでいうデザインとは単に「見た目」のことだけではなく、使い勝手や快適性に影響する「空間」デザインも大切なデザインの要素です。

そして2つ目は、施工から独立していると言うことです。

建築家で建てる家の重要なメリットのひとつは、施工の都合よりも建て主の利益を優先した家づくりを行えることであり、もうひとつは、建て主に代わって工務店の工事をチェックし、手抜き工事やミス工事を防ぐということがありますが、工務店に勤務していれば、工法や建材などを所属工務店に合わせて設計しなければなりませんし、当然工事に対するチェック機能も働きません。たとえ独立して事務所を構えていたとしても、仕事のほぼすべてが特定のハウスメーカーや工務店の下請けである場合は実質的には全く同じことです。

 

この2つの条件を備えている方が一般に「アトリエ系建築家」と呼ばれる方たちなのですが、家づくりにおいてはもうひとつ大切な条件があります。

 

建築士一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類に別れ、全国で20万人以上の有資格者がいますが、設計の業務というのは実に広範であり、それぞれ細分化された範囲の中で設計を行っています。 例えば、土木か建築か、公共建築か商業建築か住宅か、大きな建物か小さな建物か、など実に様々な切り口で分けることができ、住宅はその一分野に過ぎません。

 

そして、住宅以外の設計を専門としている方が住宅を設計をすることは現実的に難しいといえます。設計の各分野はある程度は重複する部分もありますが、基本的には異なる技能といっていいでしょう。図面を描くことそのものは可能であっても住宅で使う建材のコストや住宅に関する法律、住宅特有の細かい技術などをご存じないはずですし、一般施主とのコミュニケーションなども苦手な方が多いでしょう。特に、住宅設計は多くの要素を一人でこなさなければなりませんので、規模の小ささにもかかわらず独特の難しさがあるのです。

 

つまり、ほぼ住宅を専門にしているということが、家づくりにおける建築家の最後の条件になります

工務店やハウスメーカーで家を建てる場合は展示場見学や、プラン、見積もりによって、完成形とほぼ正確な費用を確認した上で契約をすることができますが、建築家の場合は大きく異なります。

 

展示場を持っている建築家は皆無といっていいでしょうし、誰もが契約前にプランを描くとは限りません。また、正確な工事費も設計完了後に工務店に見積もりを依頼しないと知ることができません。つまり、建て主は完成形や正確な費用がいまひとつわからない状況で契約に臨まなければならないのです。

 

なぜならば、建築家の場合はそれぞれの家族のライフスタイルに合わせて一軒一軒の家をゼロから設計するために展示場は無意味ですし、プランを作るためには建て主との継続的で腰を据えた付き合いが不可欠なので、あまり建て主を知らない状況で無理にプランを描いても当てずっぽうになってしまうからです。

 

それでは、建築家は何を基準に選べばいいのでしょうか?

それは、ズバリ「人物」です。

 

ほとんどの方は建築家を探す場合、雑誌やホームページをご覧になってデザインの気に入った建築家にまずアプローチすることでしょう。しかし、デザインの好き嫌いだけで建築家を決めることは大変危険なことです。建築家を訪ねた際には人物を選ぶという前提の元に、以下のポイントをしっかりとご確認ください。

 

(1)コミュニケーション能力と相性

まず、建築家選びにおいて最も大切なことは、1年以上の計画期間を通して、その建築家と相互信頼を保っていけるかどうかということです。

建て主と建築家のトラブルのほとんどは、ミスコミュニケーションが原因と考えられます。はじめは小さな行き違いでも、それが時間とともにふくらんでいき、最後にはお互いに全てが疑心暗鬼になってしまう、ということは通常の人間関係でもありがちなことです。

じっくりと話し合い、自分たちの意見に耳を傾けてくれるか、細かいことでもこちらが理解できるまで説明してくれるか、もっとわかりやすくいえば家を建て終わったあとでも、ずっとつきあっていきたい人物かを確認してください。

 

(2)設計能力

ここでいう設計能力とは、間取りやデザインの提案力ではなく、細かい部分の仕上げ方や雨じまいなどの住宅の性能面に関する設計能力です。

こちらに専門知識がないと判断がつきづらいところですが、一つの基準となるのは経験の多さです。

住宅設計は実に多くの要素が含まれていて、大学や建築士試験の勉強だけでは、とても学びきれるものではありません。ほとんどのことは小さい失敗を繰り返しながら、時間をかけて実地で学ばなければならないのです。

過去の作品写真や資料を見せてもらったり、できれば過去に依頼した建て主に直接話を聞いて確認できる機会がもてれば、より安心です。その際に注意をしなければならないのは、見せられた資料が図面や模型、CGだけの時は、実際には設計を請け負っていない可能性がありますので、必ず写真を見せてもらってください。

 

(3)監理能力

設計能力と同じくらい大切な要素が監理能力です。

監理とは、建て主が承認した図面通りに工事が行われているかをチェックしたり、図面に表せない細かい部分の仕上げ方などを工務店に指示する仕事です。せっかくいい設計ができたとしても、マメで適切な監理ができないと、文字通り絵に描いた餅になってしまいます。

まず建築家にどのくらいの頻度で監理をするかを聞いてください。遠隔地でもない限り、平均して週に1度のペースで現場に足を運ぶ必要があります。

次に、施工を担当する工務店をどう選ぶかを聞いてください。建築家が自分が紹介する工務店にこだわる場合は、なれ合いから監理が甘くなる可能性があります。ただし、逆に特定工務店との信頼関係によってコストを落とす建築家もいますので、特定工務店にこだわる場合は、その理由をきちんと確認しましょう。

 

(4)コストマネジメント能力

コストマネジメント能力とは、設計の段階でその家の工事費はいくらになるのかを見切る能力であり、また工務店からはじめの見積りが出たあとに、建て主の希望をなるべくかなえた上で、予算内に収まるように設計を修正していく能力です。

これも、やはり経験の多さが一つの指標となります。(2)の設計能力と同様、過去の実作を見せてもらったり、できれば他の建て主から話を聞いて確認してください。

 

(5)デザイン能力

過去の作品集などを見せてもらい、お好みに合うかを確認してください。

その際に注意すべき点は、あまり細かい部分にこだわらないことです。1棟1棟はそれぞれの建て主の要望によって出来上がっていますので、例えば本棚の色などは参考になりません。複数の作品の中から共通して伝わってくるイメージや考え方などを大づかみで読み取ることが大切です。

 

(6)その他の注意点

建築家によって、建築家本人が最初から最後まで直接家づくりにかかわる場合と、重要な工程や全体の監修は本人でも、実際の業務は担当スタッフが行う場合があります。

建て主としては、少しでも多く本人にかかわってもらいたいところですが、ほとんど本人が関わる建築家は駆け出しの方か、逆にこだわりが強いベテランで設計料がより高額な方かのどちらかがほとんどです。一方、担当スタッフが多くをこなす場合は設計料がリーズナブルな反面、スタッフの技量や建て主との相性、建築家本人とスタッフのコミュニケーションという要素が加わって連携が複雑になり、その分トラブルが起きる可能性が高まります。

 

それぞれ一長一短がありますので、どちらがいいということではなく、後で「こんなはずではなかった」というようなことがないように、建築家本人がどの程度計画にかかわるかを確認し、納得の上で計画を進めてください。

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